おもちゃの原料に使用され問題になった亜鉛
人類最古の職業病鉛は私たちの生活の中で利用される機会が多く、もっとも有害性が高い金属です。
紀元前から使われている金属のひとつで、鉛中毒は最古の職業病だといわれています。
ローマ時代の上流階級は、世代交代のたびに家族が減っていくという不可解な現象に悩まされていました。
この原因が鉛中毒だったのではないかという説があります。
鉛は鉄や銅のように高温でなくても加工できるため、当時は鉛文明と呼ばれるほど日常生活に浸透していました。
とくに上流階級では、鉛製の鍋、コップなどが広く使水道われていたのです。
鉛中毒はこわい!?鉛は体の中に取り込むと、ほとんどの生物に対して有害作用があり、中毒症状を引き起こします。
中毒症状は主に神経系に働きかけるもので、鉛が血液に入ると赤血球と結びつき、酸素の運搬を妨げます。
とくに乳幼児は鉛の吸収率が高いことが知られています。
妊娠中の女性が鉛中毒になると、不妊、流産、死産、高い乳児死亡率、そして生まれた子どもに高度の精神障害などを引き起こす危険性が高いのです。
ローマ時代の上流階級では、女性に鉛中毒が蔓延したことが、家族が減った原因だと考えられています。